連休前になりますが、東海地方の某都市に出張に行きました。医療過誤の調査事件で、その都市の病院に当該分野の専門医がおられるということで、お話をうかがいに行ったのです(進行中の事件で詳細を書けないため、ちょっとわかりにくくてスミマセン。)。
医療過誤の調査をする際、文献調査や、相手方医師に話を聞きに行くというだけでは解明できないところが残る場合があります。
そのような場合、知り合いに当該分野の専門医がいれば、その方にお話をお聞きするということができますが、そのような知り合いの医師がいない分野の場合・・・調査は大変難航します。
そのようなときに時々とるのが、参考になる文献の著者やその分野の権威とされる医師に、いきなり手紙を出してお話を聞けないかお尋ねする、という手法です。
相手の医師からすれば、いきなり遠方の、見も知りもしない、しかも「弁護士」という怪しい人種(笑)から手紙が来て「会ってくれ」と言われるわけですから、相当警戒されるのではないか、会ってくれることなどないのではないか、と思いませんか?
ところが、意外とそうでもありません。過去、あなたがどういう人かも分からないので会えません、とつれなくお断りされたこともありますが、結構な確率で、いいですよ、どうぞ、と言ってくださるのです。
私の経験では、一般的にみて、優秀な先生ほど気さくに、あっさりと会ってくださるように思います。そして伺えるご意見も、患者側の思い込みなどについてもしっかりと誤りを指摘してくださる一方で、医療機関側に不利な情報だからといって変に隠すというようなこともなく、だめなものはだめとはっきりおっしゃっていただけることが少なくありません。
このいわば「いきなり型」医師面談は、患者側にも医療機関側にも利害関係がない医師にお話をお聞きするということもあり、客観的な、忌憚のない意見をおうかがいできるという意味で、貴重なものとなることが多いのです。
今回もそのような手法で、その医師とは全く面識がなかったのですが、お手紙を書いてみました。果たして、お返事は「お会いしますよ、どうぞ。」でした。
それで依頼者(患者のご遺族)と一緒に出かけてきたわけですが・・・。
聞き取りの内容自体は、事件の具体的内容に関わりますので、ここには書けません。しかし今回も、上記の例に漏れず、大変よい面談でした。
何より、依頼者の言葉が印象に残りました。
「当時、この先生に会えていたら、と思いました。これだけ丁寧に説明をしてくれて、どういう治療法があって、どういう効果や副作用があって、ということをしっかり理解した上で選択したのであれば、仮に結果が変わらなかったとしても、それはそれで仕方なかったと思えたと思います。」とのこと。
事件というのは、弁護士だけの力で処理できるものばかりではありません。社会の中の、いろいろな方の助けを借りて、解決していくものです。
どんな手を使っても目の前の事件に勝ちさえすればそれでいい、というものではなく、我々弁護士も、社会の中で信頼していただけるように、日々振る舞っていかなければならないと思います。
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(石田)
まったく同感ですね。
それだけ自信がある、ということでもあるのでしょうが、人間的にもしっかりした方が多いと感じます。自分は弁護士としてそういう態度がとれているだろうか、と自省を迫られることもたびたびです。
いや、全くですね・・・医療過誤事件って、弁護士にとっては、我が身を振り返ることの連続ですよね。