2018年06月19日

成人年齢の引き下げ

 先日、成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げる改正民法が成立しました。2022年4月1日に施行されることになっています。

 成人年齢が18歳となることでどのような影響があるでしょうか?

 テレビでは、成人式が大変だだとか、成人式の着物が売れなくなるのではないかと呉服業界が心配しているとか、成人が18歳になってもお酒やたばこ、パチンコは20歳までだめらしいとか、そういう内容の報道が多いのですが、私たち弁護士は、このことによってきっと大きな問題が生じると危惧しています。

 成人年齢が18歳に下がれば18歳で親の同意等がなくても契約ができます。クレジットカードも作れますし、消費者金融からお金を借りることもできます。
 一見、いいように見えますが、これが問題なのです。

 未成年者であれば、まだ判断力が十分ではないという事で、自らした契約等を「未成年である」という理由で取り消すことができます(民法5条2項)。
 しかし、成人年齢が20歳から18歳に変われば、この取消ができる年齢も20歳から18歳に引き下がるわけです。

 現在でも、20歳になった大学生などが、社会経験が十分でない事から悪徳商法や詐欺の被害にあって、高額のクレジット契約をさせられたり、消費者金融でお金を借りさせられたりする被害が後を絶ちません。
 経済能力もない場合がほとんどであるため、親が代わりに支払うことになったり、本人が破産することになることもあります。

 そういう状況が、成人年齢が18歳に引き下げられることによって、更に拡大することは明らかです。
 大学生はみな成人になりますので、全員が悪徳商法等のターゲットとなるでしょう。
 高校生の間に18歳になりますので、高校生であっても、未成年取消は使えないという場合が出てきます。

 消費者教育や消費者保護が十分ではない現状で、成人年齢だけ引き下げることはとても大きな問題であると思います。

 また、養育費の支払いが18歳までが原則になるのではないかという点も、大変心配しています。

 18歳までしか養育費が支払われないとなると、高校生の間に養育費の支払い義務がなくなります。
 もちろん、現在でも大学に進学した場合には大学卒業まで養育費の支払いが認められる場合が多いので、改正後も学生のうちは認められる場合は多いでしょうし、大学に進学すれば卒業まで認められる場合も多いとは思います。
 しかし、そういうあらかじめの合意がない限り、大学進学後の養育費については、大学進学前後にあらためて協議をすることになるでしょう。
 協議するタイミング等含めなかなか難しいでしょうし、払ってもらえるか、いくらもらえるかわからないまま受験をし、進学をするのは大変な負担です。

 離婚時に養育費を決める際には、今以上に工夫が必要になりそうです。
 ただでさえ、認められる養育費の金額は少なく、また、協議にかかる時間は長いことを考えると、弁護士としても、お子さんを養育していくひとり親としても、頭の痛い問題です。

 ともあれ、法律は成立してしまいましたので、弁護士として、一人の大人として、まだ成人というには心もとない世代が不当に害されることがないように、目を配り、できることはしていきたいと思います。


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(波多江)

posted by あかつき法律事務所 at 21:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者関係
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